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金沢地方裁判所 昭和55年(わ)22号 判決

本店

金沢市彦三町一丁目四番三六号

商号

有限会社木下仁十郎商店

(右代表者 代表取締役 木下ヨネ)

本籍

金沢市彦三町一丁目一〇四番地

住居

同 彦三町一丁目四番三六号

会社役員

木下ヨネ

大正四年七月一八日生

右の両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官松本二三雄出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社木下仁十郎商店を罰金一、〇〇〇万円に、被告人木下ヨネを懲役六月に各処する。

被告人木下ヨネに対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社木下仁十郎商店は、金沢市彦三町一丁目四番三六号に本店を置き、亜鉛引鉄板・釘・針金の販売等を営業目的とする法人、被告人木下ヨネは、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括するものであるが、被告人木下ヨネは、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和五一年二月一日から昭和五二年一月三一日までの事業年度における被告人会社の所得金額は三、五二五万〇、五九七円であり、これに対する法人税額は一、三二六万円であるにもかかわらず、売上除外を行う不正手段により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年三月三一日、金沢市彦三町一丁目一五番五号所在の金沢税務署において、同税務署長に対し、前記事業年度の所得金額は七五三万九、九五五円であり、これに対する法人税額は二一七万五、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の前記事業年度の正規の法人税額一、三二六万円との差額一、一〇八万四、四〇〇円をほ脱した

第二  昭和五二年二月一日から昭和五三年一月三一日までの事業年度における被告人会社の所得金額は三、九四五万六、四五〇円であり、これに対する法人税額は一、四八四万八、二〇〇円であるにもかかわらず、売上除外を行う不正手段により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年三月三一日、前記金沢税務署において、同税務署長に対し、前記事業年度の所得金額は一、〇六三万八、六五一円であり、これに対する法人税額は三三二万一、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の前記事業年度の正規の法人税額一、四八四万八、二〇〇円との差額一、一五二万七、二〇〇円をほ脱した

第三  昭和五三年二月一日から昭和五四年一月三一日までの事業年度における被告人会社の所得金額は三、四六九万四、一三五円であり、これに対する法人税額は一、二九一万三、五〇〇円であるにもかかわらず、売上除外を行う不正手段により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年三月三一日、前記金沢税務署において、同税務署長に対し、前記事業年度の所得金額は六六七万四、六四〇円であり、これに対する法人税額は一七四万四、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の前記事業年度の正規の法人税額一、二九一万三、五〇〇円との差額一、一一六万八、九〇〇円をほ脱した

ものである。

(証拠の標目)

判示事実全般につき

一、被告人木下ヨネの当公判廷における供述

一、被告人木下ヨネの検察官に対する供述調書

一、被告人木下ヨネの大蔵事務官に対する質問てん末書(九通)

一、被告人木下ヨネ作成の上申書(二通)

一、木下富の検察官に対する供述調書

一、木下富(二通)及び木下繁の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、大蔵事務官東田章作成の昭和五四年一一月八日付及び同年一二月二六日付各証明書

一、株式会社三井信託銀行金沢支店長増井栄吉及び株式会社住友信託銀行金沢支店長松家克磨作成の各上申書

一、大蔵事務官山元肇(五通)、同松田祐三郎(三通)、同細川清悦(四通)及び同竹下照夫(二通)作成の各査察事件調査事績報告書

一、大蔵事務官山元肇作成の告発書

一、検察官作成の捜査報告書

一、登記官作成の会社登記簿謄本の写

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官東田章作成の同年一一月七日付(標目書番号二)及び同年一二月二六日付(同番号九)各証明書

一、大蔵事務官山元肇作成の同月二四日付「脱税額計算書」と題する書面(同番号三)

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官東田章作成の同年一一月七日付(標目書番号四)及び同年一二月二六日付(同番号一〇)各証明書

一、大蔵事務官山元肇作成の同月二四日付「脱税額計算書」と題する書面(同番号五)

判事第三の事実につき

一、大蔵事務官東田章作成の同年一一月七日付(標目書番号六)及び同年一二月二六日付(同番号一一)各証明書

一、大蔵事務官山元肇作成の同月二四日付「脱税額計算書」と題する書面(同番号七)

(法令の適用)

被告人木下ヨネの判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を各選択し、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人木下ヨネを懲役六月に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

被告人有限会社木下仁十郎商店は、その代表者である被告人木下ヨネが同被告人会社の業務に関して法人税法一五九条一項(七四条一項二号)の違反行為をしたものであるから、同法一六四条一項、一五九条により、その所定罰金額の範囲内で同被告人会社を罰金一、〇〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 川瀬勝一)

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